相続が発生したときに知っておきたい事

① 家庭裁判所での検認手続きについて

●自筆証書遺言が見つかった時には、開封せずに家庭裁判所に検認手続きを申し立てを行わなければなりません。勝手に開封してしまった時は、5万円以下の過料が課されます。相続人全員の同意があったとしても検認手続きが不要になることはありません。尚、遺言書に封がされていない場合も、検認手続きは必要です。
●公正証書遺言がある場合には、家庭裁判所での検認手続きは不要で、金融機関での相続手続きや不動産の名義変更手続きを行うことが出来ます。

② 家庭裁判所での検認手続きについて

 家庭裁判所での検認の手続きは、自筆証書遺言に戸籍謄本等の資料を添えて、家庭裁判所に検認手続きの申し立てを行います。後日、家庭裁判所が相続人全員に対し、期日に裁判所に来ることを伝える内容の通知書を送達します。期日には、相続人が立ち合い、家庭裁判所で遺言書の開封をします。状況により前後しますが、おおよそ申し立てから検認までに約1ヶ月の期間がかかります。しかし、家庭裁判所で検認手続きを行う事と遺言書の有効、無効は無関係で、遺言書の要件が満たされていないと、家庭裁判所で遺言書の検認手続きをしても、無効の遺言書では、相続の手続きを行うことが出来ません。
遺言書の作成方法についてはこちら

遺留分について

遺留分とは
遺言書によって相続財産を誰に相続させるのか指定することが出来ますが、例えば、相続人が妻、子A、子Bとなる場合に、妻と子Aのみに全ての財産を相続させる旨の遺言書を作成していたとしても、子Bには、法定相続分の2分の1の遺留分が認められていますので、子Bが遺留分を主張すると相続財産の中から遺留分相当額を取得することになります。

遺留分減殺請求とは
子Bが遺留分の権利の行使をするのことを遺留分減殺請求といい、この権利の行使は、子Bの遺留分(法定相続分の2分の1)を侵害するような相続分の指定や遺贈などがある場合に行使することができます。

遺留分減殺請求権の短期消滅時効について
この遺留分減殺請求は、相続開始知った時から1年以内に行使しない場合または相続開始から10年が経過した時には、権利が消滅してしまいます。


相続税について

相続税は一定額以上を財産を相続する場合に、課税されるものです。相続税を計算する場合、相続財産から基礎控除額を控除します。この控除額より相続財産が少ない場合、相続課税の対象にはなりません。現在、この基礎控除額は、5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)になっています。
 しかし、基礎控除額を超え相続税の課税対象となるケースでも、各種控除や税額軽減等を利用することによって、結果として相続税がかからないケースや相続税額を減額できるケースもあります。例えば、配偶者の税額軽減措置を活用することで、配偶者の法定相続分の額、または、法定相続分を超えて相続するケースでも、1億6,000万円までは、配偶者が負担しなければならない税額はゼロとなります。このほか、居住用宅地の相続の場合に、要件を満たせば80%の減額が認められる小規模宅地の特例や未成年者控除、障害者控除などの制度を活用することで税額の減額が可能となるケースがあります。
 ただし、相続税の各種控除や税額軽減措置については、相続開始から10カ月以内に遺産分割の協議をして、申告の手続きをする必要があります。